エビデンスベースドマネジメント(EBM)
EBMは、不確実な状況下で価値を提供し続けるためのマネジメントフレームワークです。
EBMのフレームワークを用いることで、確実性の幻想から抜け出し、変化に適応できるマネジメントを実施できるようにするのが狙いです。EBMは経験主義に基づいているため、スクラムをはじめとしたアジャイルフレームワークと親和性があり、企業やプロダクトの戦略、マネジメントから「アジャイルになる」相乗効果が期待できます。
EBM実践の課題
しかしながら、確実性の幻想はマネジメント手法に根強く残っているため、「きちんとやる」「理解できるまで始めない」「間違ったら取りやめる」「うまくいかなかったら元に戻す」といったチカラがどうしても働いてしまうことがあります。これはEBMだけではなく、スクラムにおいてもけいこうとしてあるのではないでしょうか。
これらの従来のやり方のクセを取り払う、軽減するには、習慣からアプローチするのが最も効果的なアプローチになります。それが「カタ」です。カタを使うことで、「事実」と向き合い、事実と異なること、「わからない」に対して逃げないクセをつけることができます。
EBM実践のカタ
EBMを実践をする際には、従来のクセに戻らないようにする「問いのカタ」が必要になることがあります。
ここで紹介するカタは、私がEBMの導入伴走支援を行なっている際に見出したものであり、提案でもあります。オリジナルのものです。EBMを実践する際に必須のものではないことはご理解ください。補助として活用いただくものです。
- 方向性はどうか?状況に合っているか?
- やっていることは「実験」なのか?
- 次の判断につながる計測指標になっているか?
- 今日やった行動で何がひとつ変わるのか?
EBMのゴール設定と重要価値領域(KVA)による価値の計測は、表裏一体の関係性があり、相互に観測しうる関係性です。どちらか一方が固定化されている状況が適切であるとは言えないかもしれないことを抑えておくべきです。また、これらのゴール(戦略的ゴール、中間ゴール、即時戦術ゴール)と重要価値領域の重要価値指標(KVM)は、透明性がないければなりません。そして、実験によって、検査し、適応させていく対象でもあります。
計測指標は、実験し、ゴールに近いているかの判断になるものです。単に計測した指標のスナップショットを見ても判断はできないでしょう。したがって、傾向を見ていくことが重要になってきます。傾向によって判断できるようになったら、ゴールに近づいているか、ゴールに変化が必要かも判断できます。また、判断に寄与しない指標は「ノイズ」である可能性が高いです。ノイズが多いと判断に遅延が生じます。
また、予め決まっていることは「作業」であり、実験とは呼べないかもしれません。事実が明確で作業をすることで確実に価値になると自明なものは「作業」すれば十分なはずです。しかしながら、明確ではなく、結果が価値になると確信がもてないものには「実験」が不可欠です。常にこのことを念頭に置いておくべきであり、意識においておくとよいでしょう。
EBMを実践するにあたって、特別な会議体を設けたりする必要は基本的にはないはずです。スクラムを実践しているチームならば、スクラムのイベントの中で判断をすることもできますし、ゴールも計測指標も検査し、適応させることができます。
まとめ
EBMは不確実な状況下で価値を提供し続けるための強力なフレームワークです。しかしながら、従来の意思決定、やり方が根強く残っている組織においては、そのことが、容易な導入を阻害してしまう恐れがあります。
- EBMを十分に理解してからでないと実践できない
- 従来のマネジメント手法が根強い
- ゴールと実行計画が一体化していて、これが決まらないと進められない
- 従来の計測指標や流行の計測指標しか測っていない
- スクラムとEBMを分離させて別物として取り組んでいる
これらのどれかひとつでも、該当する場合は「EBM実践のカタ」の問いを活用いただければ幸いです。